233前の看板:LIFE LOMO 2013公開当時

先月の「LIFE LOMO 2012」(LIFE展)@世田谷233で出展した、今回の作品をお見せしたい。

LIFE LOMO 2013出展作品 出展時に公開していたミニアルバム

今回は、東急東横線・渋谷駅で撮影したクロスプロセス写真から、3枚をセレクトさせていただいた。黒いボードで上に四切、下に六切2点を配置した、縦長レイアウトにしている。
現在の東横線渋谷駅は、来月3月15日をもって駅としての役目を終え、副都心線が発車する地下ホームへ移転し、両路線の直通運転がスタートする。移転後は5月までの期限付きでイベントホールとして使われた後、渋谷駅の大規模再開発により、変貌を遂げることになる。

この写真を撮ったのは昨年9月のこと。ちょうど、デザインフェスタ・ギャラリーで開かれたアートイベント「ARTALK3」で開かれた、くらいぶさん主催の写真展「Film Camera Lover’z」への出展のために、祐天寺・写真のタカノさんを行き来していた際に撮影したものだ。
この頃から、東横線・副都心線の直通運転を控えて、東京メトロの車両が東横線で営業運転を始めていたこともあって、既にカメラを構える鉄道ファンの姿が多く見られたが、自分は敢えて日常としてのターミナルを撮りたくて、SMENA35を携えた。それもクロスプロセス現像を前提に、リバーサルフイルムを入れて。「カメラを構える」というより、日常の中に溶け込むような感覚で、ほとんどノーファインダーで一枚一枚を撮って、フイルムを丸々撮り切った。

東横線渋谷駅にて・1 東横線渋谷駅にて・2

撮ったフイルムは、その翌日に世田谷233を通して、三茶にあるLomoLabへクロスプロセス現像・プリント+CD-R保存をお願いしたが、上がってきたプリントの大半は、シャッタースピードが速すぎたのか露出がアンダーになりすぎ、暗くなってしまった。上の2枚は、写真展での出展から外して、スマホでInstagramに公開したものだが、元のプリントは人の姿が判らないほど、暗いものだった。

LIFE LOMO 2013 出展写真・1

それらの中からLIFE展に出せる写真を選ぶのは、きわめて難しいものがあったものの、ようやっとピックアップできたのが今回の3枚だった。一番上に配置した四切の写真は、屋根の内と外で明るさの違いが出たことで、ビビッドな仕上がりなのが、選択の大きなポイントになった。なによりも、ホームを歩く人のシルエットが如実に目を惹きつけ、「今」の渋谷駅を印象付ける、そんな写真だと感じていた。

LIFE LOMO 2013 出展写真・2 LIFE LOMO 2013 出展写真・3

六切の写真2枚だが、東横線渋谷駅の特徴ある屋根の下で、シャッターを低速或いはバルブにした。左は発車ベルが鳴り終わった一瞬の静けさを、そして右は数秒間バルブにして動き出す電車を捉えている。
実は、最後の動き出す電車の写真については、自分なりに思い入れをこめて選択させてもらった。

“3月になって渋谷駅が新しい時代を迎え、新たな「旅立ち」を始める”

これから約10年は、渋谷駅は変化の時を迎えることになる。今後も、再開発によって変わっていく渋谷駅を、捉えていけたらと思っている。

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【作品データ】
カメラ:SMENA35
フイルム:Lomography X-PRO Chrome 100
撮影日:2012-09-08
現像・初回プリント:2012-09 LomoLab
展示用プリント:2012-12 東伏見・写真工房+(西村カメラ)