7日に終了した、アユミギャラリー@神楽坂の企画写真展「人間漂流」Vol.15の、展示の模様をお送りしたい。

神楽坂・アユミギャラリー
※デジカメで撮った写真を、Androidアプリ「Pixlr-o-matic」で加工

アユミギャラリーは元々、オーナーである鈴木喜一先生の義父・高橋博氏の事務所、高橋建築事務所として1953年に創建された、ハーフティンバー様式の建物で、現在は1階がこのギャラリー、2階は鈴木先生の建築事務所として使われている。60年近く、神楽坂の街を見守ってきたこの建物は、昨年になって国の登録重要文化財に指定されている。
このギャラリーでは、3つのアートスクール“神楽坂建築塾”、“神楽坂美術塾”、“神楽坂写真塾”を、年度ごとに企画している。本業である建築をベースに、美大の講師を兼業されている、鈴木先生らしい企画といえるだろう。

人間漂流15OP・戯れ言「素晴らしき自分勝手」 人間漂流15OP・「武蔵野はちみつ団」ライブ

オープニングパーティは、会期2日目の3月3日・土曜に開かれた。
毎年、人間漂流のオープニングパーティでは「武蔵野はちみつ団」というバンドのライブを観るのが通例だが、今回は15回目という節目であるためか、前座として主催をされている鈴木先生(左写真:右側)とプロ写真家の秋馬ユタカさん(左写真:左側)の“戯れ言”と銘打った寸劇が催された。秋馬さんの夢の中に出てきた鈴木先生と語るという設定で、味のある店が無くなりつつある神楽坂のことや、旅の話とか、奥深い印象の劇だったと記憶している。
そして、定番の「武蔵野はちみつ団」ライブへ。合間にMCを挟みつつ、貫禄あるシャウトに浸るのが、この展示の醍醐味といえる。過去に自分が携帯で撮ったライブの模様を、YouTubeにUPしてあるので、雰囲気だけでも感じていただけたら、と思う。

「ぼちぼちいこか」 by 武蔵野はちみつ団

「楽しき脱走」 by 武蔵野はちみつ団

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さて、自分が出展した作品だが、今回のテーマ「旅の色」になぞらえて、秩父夜祭の写真を3点を出させていただいた。

人間漂流15・今回の出展作品「YOMATSURI」
※人間漂流 Vol.15出展作品「YOMATSURI」

山車に夜店、そして冬の花火が、夜の街に煌々と灯りを照らす風景。これが「旅の色」というテーマにマッチしていると感じていた。昨年は祭りの時期がちょうど週末とぶつかったため、地元・練馬から西武線を下って秩父を訪れ、祭りの賑わいの中で300枚近くシャッターを切り続けた。遅めに出かけて滞在時間が少ない中での撮影になったため、山車が曳かれる迫力を捉え切れなかったのは自分にとって反省材料だが、「団子坂」の上りから“御旅所”(おたびしょ:秩父市役所の真裏)に至るクライマックスで粘ったのは、間違いではなかったと感じている。

今回出した3枚の写真は、祭りのクライマックスから、その後の余韻に浸る印象を持たせるイメージにしたいと思い、セレクトした。

人間漂流15・「YOMATSURI」/山車が坂を上るクライマックス

1枚目:「団子坂」を“逆鉾”や“屋台”と呼ばれる山車が上っていく、祭りの醍醐味といえるシーン。目的地は目前だが、その歩みは遅く、「上がれ、上がれ」と提灯を振る。その様には十分迫力を感じさせられる。

人間漂流15・「YOMATSURI」/冬の花火

2枚目:秩父夜祭では、山車の曳き回しと同時に、花火も盛大に上がる。夜店の通りから捉えた“金色”の花火はブレた上に、煙が多く、スナップ写真としては失敗といえるかもしれないが、逆にこれが、祭りの大きな盛り上がりを印象付ける一枚になると感じていた。

人間漂流15・「YOMATSURI」/賑わう夜店

3枚目:西武秩父の駅へ戻る途中、通りの一角にある大きめの夜店の前でシャッターを切る。店の中は、酒を酌み交わす人々で賑わっている。祭りのクライマックスを見て、“ちょっと寄ろうか”と夜店の中に吸い込まれていく感じになる一枚。

西武秩父駅で発車待ち 22:45発・西武秩父発池袋行き 臨時“各駅停車” 秩父からの帰路、撮った写真を振り返る

ちなみにこれを撮った後は、西武秩父からの直通“鈍行”列車で2時間かけて地元へ帰還することに…。席に座れたのは入間市を過ぎた辺りだったはずで、ぶっ通しで立ちっぱなしだった自分は、完全に地元の駅まで夢の中だった(苦笑)

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【作品データ】
カメラ:キヤノン・PowerShot G9
撮影日:2011-12-03
プリント:自宅のhp Photosmart C5180で、3点をA4サイズに印刷